給食について

このページでは、主に実施されている給食の種類について説明。

ちなみに秦野市の小学校では「自校方式」の給食が行われていて、となりまちの大磯の中学校給食は「デリバリー方式」、厚木や川崎は「センター方式」です。

 

家庭弁当

 最初に現状である家庭弁当について書いておきます。 

 家庭が子供に責任を持つという事は当然で、一般的には親は子供を大切にしたいと考えています。食事についても同様でしょう。親は子供に良いものを食べて健康に育ってほしいと思っています。それでも、お弁当の準備が大変という意見が親に多いのは単に親の怠慢でしょうか。コンビニの弁当を持たせる親はただ楽をしているのでしょうか。
 そんなことはないと私たちは考えています。
 親は子供や家族のために日々いろいろなことを考え働くことに追われています。子供の食事くらい親で作ってあげてというのはもっともではありますが、それが出来ない、もしくは不十分になってしまう状況に親がなってしまっているのではないでしょうか。

 中学生ともなると食べる量は多くなり、また部活動などで朝早く学校に行く生徒も多く、それまでにお弁当を用意しなければいけません。また放射能汚染や添加物などの影響も気になるところです。そういったことを考慮して毎日弁当を作ることは大変です。
 また、親の状況も夜遅くまで仕事をしている方もいるでしょうし、お金に困っている家庭もあるでしょう。裕福な家庭の子は十分に食べられ、そうでない子はそれなりのものを食べればよいという意見もあるかもしれませんが、私たちはそういった考えに同意できません。どんな家庭に生まれようが、子供たちの可能性を奪うことなく能力を伸ばせる環境を用意していくことが、子供たちへの私たちの義務だと思っています。
 私たちはそういった思いも込めて中学校給食の実現を求めていきます。

 

 


自校方式

「各学校の給食室でその学校の分の給食を作って提供する方式」

 

 秦野市立小学校の場合、メニュー作成や、食材の調達は市の栄養士が行っており、給食の管理は市がある程度している状況といえると思います。メリット、デメリットをまとめてみます。

メリット
・市の栄養士で栄養バランスの管理ができる
・市で食材の調達を行うため、地産地消の促進が可能
・出来立てが食べられる
・給食室が身近でアレルギーなど細かい対応がやりやすい
・給食室が身近で食育の機会が提供しやすい

デメリット
・給食室を設置する費用がかかる(市の概算で約34億円)
・栄養士などの雇用に人件費、また光熱費がかかる(市の概算で約3億4千万円)

私たちもデメリットである費用については気にしている点ではありますが、それでも自校方式がもっとも理想的な給食の方式ではないかと考えています。

 

 


センター方式

「給食センターで複数校分の給食を作り、各学校に配送する方式」

 

 神奈川県の中学校給食のうち市で実施している(綾瀬、小田原、大和、三浦、厚木等)のはほとんどがこの方式です。この方式でも栄養士は市の職員が担うことになると思うので、栄養の管理や、食材の安全性はある程度確保できると思います。一方で、配送となるので配送費や、時間がかかることが自校方式とは異なります。大量生産という形となるので、細かいアレルギーの対応にどこまで配慮できるかは運用による面が多そうです。
 秦野市ではセンター方式にする場合2つのセンターを建設することを念頭に置いているようです。メリット、デメリットをまとめてみます。

メリット
・市の栄養士で栄養バランスの管理ができる
・市で食材の調達を行うため、地産地消の促進が可能
・センターでの統一的なアレルギー対応が可能
・大規模化による効率化、合理化が可能

デメリット
・給食センターを設置する費用がかかる(市の概算で約26億円)
・給食センターの設置場所に制限がある(工場扱い)
・栄養士などの雇用に人件費、また光熱費がかかる(市の概算で約3億円)
・食中毒などが発生した場合の被害の規模が大きくなる可能性がある
・給食センターでの作業で食育の機会は自校方式に劣る

 センター方式でのメリットは合理化という事になります。設置の費用についても自校方式よりは少なく済むと言われていますが、実際にはセンターの土地購入代なども考えると一概にそうとも言えないようです。提供する給食の内容自体は学校毎のメニューなどは難しいですが、栄養管理等は自校方式と大きく違いはないかもしれません。ただ、配送おけるミスや食育の面(自校では栄養士は各校に配置が出来ますが、センターでは1名/2000食でもよい)では自校方式の方に分があり、アレルギー対策なども課題として考える必要があると思われます。

 


親子方式

「AA学校の給食室でBB学校の分も作り、AA学校からBB学校へ配送する方式」

 

 自校とセンターの中間をとったような方式と言えます。
 秦野市で考えると小学校は自校方式で給食を作っているため各学校に給食室を持っています。生徒数も減っているので、そこを改修するなどして近隣中学校の分も作って配送する形ができるのではと考えています。これが出来れば中学校に新たな給食室をつくったり、給食センターの設置も必要ありません。ただ今の小学校の給食室の改修が必要となり、他校への配送ともなるのでそれなりの規模の改修となり、また衛生管理基準を現在の基準で満たさなければいけないなどの条件が付くようです。他校への配送となると工場扱いとなるようで設置場所の制限もあるよう。それら諸々のことを検討したうえで可能であれば選択肢の一つにはなると思います。
 ちなみに大阪市の検討資料によると、自校方式やセンター方式の費用の半分程度で可能との試算があります。理由はわかりませんが検討会では出てきているにもかかわらず、秦野市のアンケートにはこの方式は提示されていないため秦野市の試算は不明です。
 
メリット
・市の栄養士で栄養バランスの管理ができる
・市で食材の調達を行うため、地産地消の促進が可能
・新たな施設建設が不要もしくは少なく済む
・給食室が近いため食育の機会が提供しやすい

デメリット
・小学校の給食室を利用した場合、改修費用がそれなりにかかる
・給食室の設置場所に制限がかかる(工場扱い)
・栄養士などの雇用に人件費、また光熱費がかかる
・親の学校と子の学校間で配送の時間分のタイムラグが生じる

この方式は自校方式とセンター方式の中間ですが、一方で今後の少子化や多子化にある程度柔軟に対応できる形ではないかと考えています。

 


デリバリー方式

「民間業者の調理施設を使用して給食を作り弁当詰めして、配送する方式」

 

大きなメリットとしては市で施設建設をする必要がなく費用が大幅に低く抑えられること。一方で市の栄養士がメニューを作成するとしても食材の調達などは業者に任せることになるという形も多いです。もし業者に任せるという形になればほぼ地産地消の方針はとることはなく、安価な輸入食材や大手業者からの納入となってしまうと思われます。
 神奈川県では相模原市でこの方式を導入しています。相模原市では献立から食材の発注までを市の栄養士が担う形をとっており、この方法であればそれなりの地産地消の推進も可能と考えられます。
 また、この方式を導入した市町村では利用率の低下が問題となっています。その原因としては、弁当に詰めることで冷たく美味しさが半減すること、業者の調理設備を使用することでの不安感の増大、注文の手間などが考えられます。

メリット
・市の栄養士で栄養バランスの管理ができる
・制度によっては市で食材の調達を行え、地産地消の促進が可能
・新たな施設建設が不要なため初期投資が少ない(市の概算で約2億2千万円)
・今後の生徒数の増減に対応しやすい。

デメリット
・栄養士などの雇用に人件費、また光熱費がかかる(市の概算で約2億9千万円)
・制度によっては地産地消の促進が出来ない
・弁当詰めのため冷たく美味しくない、またおかわりが柔軟に出来ない
・業者の状況に営業が左右される可能性がある
・アレルギーの対応が難しい

 私たちは子供たちが生活しやすい社会を創ることで将来的には少子化ではない方向に社会が向かうことを考えて活動しています。ただ現状の傾向からするとしばらくは子供が減っていく状況になっていることは確かで、最近給食の実施を決めた相模原市や海老名市がデリバリーを選択したのもそういった要因があると思われます。
 市の財源には限度があるのは確かで、どういった形を求めていくかは検討の余地があると思っていますが、デリバリー方式は導入したどの市町村でも利用率が上がらないという問題を抱えています。それはやはり毎日、業者が調理した弁当を食べるという形が、いくら市の栄養士を入れたとしても親にとって抵抗あることだからではないでしょうか。

 

 


業者弁当方式

「業者がメニュー作成から食材の調達、調理、配送まで行うもの方式」

 

 現在、秦野市では中学校でこの形のお弁当が提供されていますが、利用率は1~4パーセントとほとんど利用されていない状況です。その理由を検討会で話しており、検討会としては
・弁当持参を基本としていること
・近隣にコンビニなど弁当が買える環境があるかで利用率がかわるのでは
などの意見が挙がっていますがどうなのでしょうか。
 業者弁当は秦野市では「ハーベスト」「やまじフードサービス」「CI弁当」「秦野共同」が請負っているようです。食材については当然ですが各社、安心・安全をうたっていますが、仕入先や調理などは業者を信用するしかありません。また、地産地消については市として進めることは難しいです。私たちとしてはそういった部分が問題ではないかと思っています。

メリット
・施設建設や調理師の人件費などにお金がかからない。
・現在もやっており、運用しやすい。

デメリット
・栄養のバランスの管理が業者任せ。
・食材の産地を指定できないので、地産地消が促進できない。
・アレルギーの対応が難しい。

 業者任せになるこの方式で全生徒の給食を提供するとなった場合、抵抗のある親は多いのではないでしょうか。少なくとも市の方で産地などの指定ができる給食を提供したいと私たちは考えています。